「自分が異端である続けるために戦う」
----逆にアカデミズム側からの評論というと、いわゆる作家作品主義というか、鶴岡さんがおっしゃるところのガラクタ的な物はやっぱり黙殺されがちかと思うのですが。
鶴岡▼ああ、それもあります。確かに。でもその人たちはその人たちでちゃんとやってもらわないと、そっちからの光があたらないんですよ。僕一人で全方位系はできませんから。だからアカデミズムが照らせないところを僕は照らせばいい。ただなんか間違えてこっちを照らしに来る人が時々いると腹が立つんですよ。君はそこじゃないでしょとか。あとそれが正解じゃないでしょとか思っちゃいます。自分の考え方正解だと言い張る人がいて。僕らの考え方とかもっと他の人の考え方を抹殺しようとする。
----これは個人的な印象なんですけど、サブカルだったものがアカデミズムで語られて行くとそのジャンル自体衰退気味なのかなと思ってしまうんですが。
鶴岡▼うーんだから、アカデミズムの方って全員じゃないと思うんですけど、ああいう方々が他の言説を排除していった部分がありますよね。自分達で自ら取り込むだけ取り込んどいていざとなったら閉ざしちゃったって気がするんです。まだまだやられて無い事っていっぱいあるんですよ。漫画評論とかでもそうですね。何々学者が、分かりにくいから実名出しちゃいますけど、香山リカとかがとやかく言うのがホントに腹が立つんですよ。で、かなり的が外れてる時って多いんですよ。それはでも、だからってそれをやめろと僕はいいたくないんですけど。だけどそれが凌駕しちゃうとまずいんじゃないかと思うんですね。相対化ですね。僕の最大の理想、理想って言うか快適な空間って。
----香山リカはアカデミズムの側の人になるわけですか?
鶴岡▼あの人は心理学の立場で、漫画とか映画とかガンガン語るじゃないですか。で読んでてえーっとかって思う時あるんですよね。なんでもかんでもみんな心理学で語っちゃって。そういうのってどうかなとか思う。僕は客観てものは存在しない気がするし、全部その観察者の主観。この考え方自体間違ってるって言われちゃーおしまいなのかもしれないけど。だからそれでいろんな主観があってやっと全体が見えるんじゃないかと。いきなり差別用語が入ったことわざなんですけど「群盲象を評す」って言うじゃないですか。あれは悪いことわざとして使われてますよね。でもね思うんですよ、盲人100人集まってねそれ全部統合すれば象になると思うんですよ。で人間ってその程度ですよ。一面しか触れません。社会ってこんなに大きいんですもん。それを一言の言葉であるとか一つの考え方で語れる程世の中単純だったら、とっくの昔にね世の中語り尽くされてると思うんです。
----現状はそうはなってないですか。
鶴岡▼うーんやっぱりでもなんか、しゃべりたがりの人がなんか他の意見をすぐグッて押さえちゃう人多いですよね。だから『新世紀の迷路』のあとがきにも書いたけれど、誤解も解釈の一種だっていう、ホントそれにつきますね。その人の中でそういう風そう思ったんだからそれもまた一面だと。錯覚も認識の一つなんですよ、やっぱり。むしろ僕は普遍的でないところから始まるんです。だから俺はこう思う、僕の視界の中でだけこう見えてるものだというところから始まるんです。子供の時とか見てた漫画とかでみんなで話してると、もぅ受け取り方が全然違うんですよね、やっぱり。で例えばそこで作家が僕のテーマはこれだとかって言って、それ以外のそういう受け取り方をしなかった人をどうこうするって……
----作品は作者のものじゃないと。
鶴岡▼そうですね。人の手に渡って初めて作品として成立すると思います。やっぱりエヴァの最初の頃なんか、僕の言説ってやっぱ相手されませんでしたもん。あの何話だったか碇シンジとアスカがふたり一緒に踊りながら戦う回、あの回が一番面白いっていってたんです。誰も相手にしてくれなかったんですよ。みんな最終回最終回最終回って。僕あの回が一番面白いって言ってたんです。回るんだよ、だって。面白いじゃないって言って。最近になってやっとね、なんとなく意味が分かって来たってやっと人に言われるようになってね。
----エヴァはある種象徴的でしたよね。アカデミズムとサブカルが同時代的にこっちに来て。
鶴岡▼そうかと思うとそうじゃない人もいっぱいいるんですよ。それでいろんな意見があって。単にただ、それこそエロ同人誌作ってる奴もいるじゃないですか、それでエヴァが好きーとかって言って。そうかと思うといろいろ自分で解釈送ってきたり、喋ったり。なんか一番凄かったのがエヴァンゲリオンってのは自分が作った作品なんだとか(笑)。ちょっとおかしな方とかもいて。みんな違うんです。1個の作品がいろんな人が見たから、いろんな見え方がするんだなとかって思って。それ全部まとめるのも散漫だから、いろいろ個性の立ってるひとに語ってもらって、なんかちょっと全体的に、見えるかなってのがあの『新世紀の迷路』なんですよね。だからやっぱり睦月先生のインタビューははずせない。アレがなくてはいけないんです。エヴァンゲリオンを単なるオナニーの道具だと思ってる官能作家というのをいれなきゃいけないんですね。あと、やっぱりイメクラでエヴァンゲリオンのコスプレをしている女の子の話を聞かなきゃマズイと。そこまで含むんですよ。あそこでなんか学者とかばっかりに話を聞いていたら凄い単調な本になっちゃうと思うんです。
----正統的なものと異端なものが対立する事はおかしい。むしろ補完しあう形が理想であるわけですね。
鶴岡▼そりゃモットクレロンとか面白いですよ。でも、あれだけじゃみんなウルトラマン見ないじゃないですか?やっぱりね正統の人とかには、がんばってもらいたいという気持ちがあります。僕が正統にはなりたくない。自分が異端であり続けるために戦うっていうね。正統がいなくなったらこっちが繰り上がり当選で正統、とかはまずい。やっぱ怪獣で言えば、レッドキングとかバルタン星人とかゴモラに頑張ってもらわないとシーボーズの立場がね、やっぱり困るんですよ。変な怪獣の立場が。だからその辺のところって言うのを。
