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清竜丸店主 河野恵一郎 INTERVIEW---PAGE2
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それではと、そのマダコの刺身を頼む。「へいっ!」という威勢のいい掛け声と共に、鮮やかな包丁さばきで見る見るうちにタコが刺身へと変わる。
河野さんがこの道に入るきっかけを聞いてみた。「テレビドラマ『前略おふくろ様』を見て『これしかない』と思って」 と笑ったあと、 「父が戦後、飴屋の屋台を引っ張って商売をしているのを見てね…やっぱり自分の手で何か商売をやる、そういう事の大事さを学んだというかね」 表情が引き締まった。 板前の修業は、最初東京駅八重洲口の近くにある関西割烹「北浜」に18歳から二年半くらい、そのあと巣鴨の日本料理店「田村」に二年。みっちりしごかれたという。生まれも育ちも浅草という江戸っ子の河野さんはそんな修行時代を経て、育った浅草に店が欲しいと出店する。曲折の末、北浜時代のお客さんの紹介で、現在の「清竜丸」を開いた。 清竜丸のメニューは、冬には「きぬかつぎ」(里芋を炭火で焼いたもの。塩か酢味噌で食べる)や舞茸の天ぷら、新鮮で大ぶりな生ガキなど、河野さんが言う通り、その季節季節に旬のものが一番うまい。そして料理人・河野さんはその「旬」にこだわる。 またこの店の売りでもある「船方料理」でとりわけ美味しいのは、漁師料理「なめろう」である。今でこそグルメ番組などの影響でこの「なめろう」を出す店は増えてきたものの、河野さんの場合はそんなブームよりずっと以前からこの料理の美味しさ、魅力を見抜いていた。
「なめろう」はその時に一番新鮮な魚(タイの時もあればイナダの時もある)と味噌、オオバ、葱などをまな板の上で豪快に包丁でタンタンと叩き、少し粘り気が出るくらいまでに刻んで混ぜ合わせたもの。これがうまい。この「船方料理」も、魚が新鮮でなければベチャベチャとした「刺身の死体」のようになってしまうという。もちろん、清竜丸の「なめろう」は絶品だ。この料理は、河野さんの知人である千葉・大原の元漁師の方に教わったという。その方の素朴かつ豪胆な漁師料理に強く影響され、自分の店でひなびた雰囲気のなかでも、新鮮な素材を美味しく食べてもらう事が自分のこだわりだという。店のメニューには「ふなかた料理」として、他にも「なめろう」をしょうゆ味の汁で味付けした「まご茶」、「じあじあ」といった聞きなれない素朴な漁師料理もある。これらももちろん、知人の元漁師の方に教えてもらったのだとのこと。 |
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