デジタルG編集長日記
2000−5

「俺なんか(有名な)●●さんとか★★さんと知り合いだしさあ…」いや、別にあんたは偉かないよ。
5月某日
玉置勉強著「セックス2000」/一水社 池袋の新宿書店で玉置勉強「セックス2000」を買う。この人はデビュー以来注目している作家の一人で面識はないが、エロ描写もさることながら、ストーリーや構成、圧倒的なリアリズムが大好きな作家だ。ただこの手の本を買うのに一般の書店だとダメな俺。イイ年して。なので成年コミック主体の書店へわざわざ出向いて買うわけだが、さすがにこの年になるとちょっとこっぱずかしいよ俺。でもいいものはいい。漫画は漫画である。玉置さんの今回の単行本は久々だが、2年ほどの間に各誌に発表された名作揃い。最近はメジャー連載もこなす氏、大手に移行…というかエロからメジャーに行く人も多い中、ちゃんと(?)エロも描いてくれるのは嬉しい限り。

 「この手の本」と書いたが、もちろん別に差別的に言っているのではないです。成年コミックと聞いただけで眉をひそめる人もいるが、それはそれで結構。ていうかほっといてくれ。…僕らの世代というと、少年の頃には今のようなアニメ系や美少女系のエロマンガはほとんどなくて(『レモンピープル』がもうあったかな?)、『ブリッコ』(セルフ出版)はもうちょっと後に出た。だからエロマンガといえば劇画だった。その時代は、内山亜紀も野口正之と言ってたし、エビスさんやひさうちさんらガロ系の人たちもよくエロ劇画誌に描いていた時代。最近復刻されたり再評価されつつあるエロ劇画だが、清水おさむのブッ飛んだ作品群、土屋慎吾のちょっと狂ったデッサン(失礼!)、椋陽児の美少女緊縛(でもどこか水木テイスト)、聖レイの愛すべきワンパターン、九紋竜の切れ長の目、そしてもちろんケン月影のケツに惹かれたもんだ。もちろんそのほかにもたーくさんのエロ作家の方々にお世話になりました(笑)。一時はエロ劇画の単行本は片端から買っていて、それと一緒に少女漫画やらガロ系も買ってたんだから、書店にすると相当おかしな客だったに違いない。生活苦でその当時の漫画はほとんど手放したが、金さえありゃ買い戻したいくらいだ。金、ないけど(最近のトレードマーク=貧乏)。
 当時はエロ劇画界は自ら「三流」と名乗り、僕らはそれをカッコいいと思っていた。そういやガロ時代、特集で「三流エロ劇画の黄金時代」という特集を組むことができて、あれは嬉しかったなあ。あのS林工藝舎(笑)が最近復刻でこうした劇画を出していることは、例の事件はともかく、仕事としては大いに評価に値すると思う。ていうか俺がやりたかった仕事ではあったが(笑)。

 7・8年前だったか、知り合いで某ドメジャー月刊誌(廃刊済)の副編の方がやはりエロ劇画の大ファンで意気投合、彼が結婚するというので、処遇に困り財産だった当時のエロ劇画誌を、ドカッと段ボール数箱いただいたことがあった。僕はすっかり嬉しくなってしまい、一時はガロ編集部の書棚にズラリと並べてたっけ。当時編集部を訪ねた人は何だと思ったろう。それらは青林堂のゴタゴタで引き上げねばならず、かといってもう自宅には置けないので、責任を持って保管してくれるという漫画ファンのO君に寄贈した。まだ、無事だろうか。
5月某日
 ジャナ専の講義の休み時間、生徒数人とタバコを吸いながら漫画についていろいろ話す。Y君は制作実習でセミプロの漫画家である友人のインタビュー記事を担当しているが、その方法について悩んでいるという。慣れだよ慣れ。
 また「漫画が現在閉塞状況にあるのではないか」などといろいろと質問される。
 僕の私見としては、確かに彼の言うようにメジャー誌の部数も落ちてきてるし、売上はともかく衝撃的な漫画が少なくなったという感想もあるかも知れないが、それをして漫画界全体が閉塞しているとは思わない。むしろ最近のTVドラマは漫画原作のものがどんどん増えてるし、CMも極めてマンガ的なものが多い。広義でゲームやアニメも漫画の一部と捕らえると、むしろ漫画は肥大化して普遍化したのではないか、と思う。
 ではその漫画王国ニッポンで、本体というかコアである漫画そのものはどうかというと、普遍化したがゆえにやり辛いという部分があるのではないか、と。そんなことをツラツラと雑談。むしろポルノ規制のような、表現に対する規制が閉塞を生むわけで、そっちが心配だ。…とこれは当サイト内にも掲載させていただいた、古屋兎丸君との対話を参照して欲しい。(順次掲載していくので、お楽しみに!)
5月某日
 仕事は忙しいのに、入金が思うように入らない。こんなことばっかりだ。発注の時はいいこと言って、支払いになると勝手に先方の都合で支払いを延ばす。仕事させるだけさせといて、全く無法な世界だなあ。大概は「うちも苦しいので」といったようなお決まりの言い訳を聞かされるのだが、それはそっちの事情。こっちは依頼を受けて条件を確認して、やることはやってるわけで、その上での言い訳はルール違反でしょう。言いたくはないが無利子無担保で金貸してるのと同じだぜ。なのにこっちはしょうがなく金利の高い借金をしてしのがなきゃならん、これって理不尽じゃないの??
5月某日
 VIZのアンソロジー「SCJ」の原稿転載の件で、数人の作家交渉が難攻。そんな中、嬉しいことにエロ漫画系が落ちているので、どなたか…ということになったので、一も二もなく玉置勉強氏を強く推薦。ていうか決定。さっそく氏にメールを出したところ、承諾の旨お電話をいただいた。嬉しいなあ。氏のサイト「ポルノスター」、半年ほど前に発見したのだが、デザインも内容も実に面白い。日記も。こういうサイトに定番の日記って、俺こうして書いてても誰が読んでんのかなぁ、と思ってたが自分だった(笑)。あとこの日記も教え子が読んでたりして、講義の際に「それって先生のサイトに書いてましたよね」と言われると「しまった」という反面「読んでくれてるのかぁ」というのと半々。
 そういえば古屋君のインタビューを当サイトに掲載させてもらってるが、掲示板に告知したあとのアクセスがけっこう伸びている。なのに読んで終わりというか、感想の書き込みが全くないことにちょっと落胆。アクセスログによればインタビューはかなりの人数に読まれているはずなのに…。
5月某日
 よしもとよしともさんに拝借していた「Jr.」の原稿を返却するので、吉祥寺で会うことにしたら、ComicCUEの堅田編集長が一緒に飲みませんか、ということになる。「今度飲みましょう」が社交辞令になってしまうことが多い昨今、さっそく飲みになって非常に嬉しい。
 吉祥寺駅前のまんがの森前というマヌケな場所で待ち合わせ、CD-Rを買うよしもとさんに付き合って、地下にある割烹へ。僕の学校の生徒たちは、よしもとさんと堅田さんと僕という組み合わせで飲むと言ったら、漫画のことや編集のことなど、タメになる話がいっぱいなされるだろうと期待に満ちて「せんせえ、絶対どんな話だったか教えてくださいね!」なんて言ってたのだが、共通の知人の話題とエロ話に終始(笑)。30過ぎの男3人、こんなもんすよ本当に。
 6時前からずっと飲んでいたのだが、途中隣でオヤジ集団が宴会をやってたのが終わり、残されたテーブルの上を見ると船盛に刺身がドッサリ、ウニの柵なんかも残ってる。男3人、顔を見合わせて「もったいないよね」「うん、もったいないよ。」ということで、堅田さんがウニ柵をGET! そ知らぬ顔でつまむ。バカうまだ。ならば続いてもう一柵…と堅田さんが手を伸ばしたところへ仲居さんが入ってきた。その瞬間堅田さん伸ばした手で後頭部をかくしぐさをするが、体はしっかりウニの方を向いており、バレバレ(笑)。結局仲居さんは「よかったらどうぞ」なんて鮎の塩焼きやらつまみを何品も持ってきてくれた。どうせ捨てるもんなんだしねえ。ラッキー、とばくばく食う。しかしどんな連中だと思われたことやら。
 二軒目は久住卓也さんが内装などプロデュースしたというショットバーへ行くが、そこに堅田さんよしもとさんの知り合いがいたので、こちらは早々に引き上げた。それにしても5時間以上飲んでたいたか。
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