2月某日
ジャナ専の「編集科コミックコース」2年生最後の講義。コミックコースとして、コミック編集志望者が単独クラスになってるのはこの4回生で最後。ていうかコミック編集の志望者は増えてんのに、学校は科を消してしまったという不思議。おかしいねえ。この年度の実習誌も一時はひどい遅れでどうなることかと思ったけど、ギリギリで完成して感慨もひとしお。出来もこれまでで最高かも知れない。前年度までの生徒たちには可哀想な評価かも知れないが、毎年生徒たちに前年度までの実習誌を見せて「これまでで最高のを目指して作れ!」と檄を飛ばしてるから、そういう意味でよくやったな、と。最後は2年間の感想や、得たこと、将来のことなどを書かせたレポートを集めて終わったのだが、みんなちゃんとマジメに聞いててくれたんだなあ、とこれまた感慨ひとしお。残念ながら業界に進まない道を選択した生徒が多くなってしまったクラスだけど、みんなそれぞれの道を頑張って進んで欲しいなあ。と先生らしいことを書いたりして。いやでも本心です。
2月某日
親しくさせていただいている、詩人の井坂洋子夫妻が食事に招いてくださった。池袋の芳林堂前で待ち合わせ、鴨鍋で有名だという老舗料理屋へ出かける。二階へ通されると畳敷きの広い部屋で、囲炉裏風の卓がいくつか並んでいる落ち着いた風情の店だ。ビールで乾杯の後、刺身や風呂吹き大根に舌鼓、どれも美味。後半日本酒に切り替えて、最後は鴨鍋で雑炊で締める。満腹&幸福〜。その後カラオケに行こうと、カラオケ各社全曲揃いが売りの店へ入る。ずっと前パルコさんとうちの生徒たちと入ったことのある店。俺の好きな洋楽もたくさんあるので嬉しい。ここで4人で唄いまくった。楽しく過ごしてタクシーで帰宅。
2月某日
銀行周りの用事があったので、連れと赤羽に出かける。遅い昼飯を食おうと、某そば屋に入って「黒豚重」というのを頼んだ。カツ丼みたいなやつと想像してたら、豚肉とたまねぎを卵でとじて、メシの上にかけてあるというもの。カツ丼のコロモ無し、というような感じか。食ってる最中、思ったより肉がうまくなくて、その代わり異常とも思えるほど大量にタマネギが混ざっていたので、空腹にも関わらず半分以上残す。その上味噌汁を倒してしまい、ズボンの股間部分(笑)がビショ濡れ。連れも、蕎麦が冷麺のようだと言って半分ほど残していた。最低の気分で出る。
夕方帰宅後、激しい下痢に襲われた。これだけだとあたしゃ特急なんでアレなんすが、途中から水なんすよ、もう。そのうち下痢だけでなく気持ちも悪くなってしまい、深夜激しく嘔吐。さらにそれでもおさまらず、下からは水、上は明け方に吐くものがないから今度は胆汁を吐く。胆汁は黄緑色であった。さすがにもうフラフラで、顔を洗おうと洗面台に行って鏡を見たら、死相が出ている。目の下にクマが出来ており、頬にもよくある「幽霊メイク」のようなクマ(?)が出来ている。鼻の付け根も黒ずんでいて、本当に死体みたいな顔だった。体重も一気に2キロも落ちていて愕然とした。
お、俺死ぬかも〜と思ったのだが、この日は創形美術学校でゲスト講師。さすがに明け方胆汁吐いたら行けないだろうと思っていたが、第一回目にいきなり休むというのも信用無くすと思い、フラフラと出かけて何とか講義を行った。生徒たちは十人足らずと少なく、中に見覚えのある顔があったので、「あれ? 見覚えあるなあ」と言ったら、去年の4月に一度講義をしたクラスだというのでビックリ。副手のTさんに聞くと、そのクラスがデザインコースとイラストコースに分かれた後の、デザインコースだという。ミニコミを作らせる予定だったのを急遽、一昨年やらせた4コマ漫画に変更した。それにしても講義内容も同じことを言うわけには行かずに慌てた。結局日本のサブカルチャーなどについて話した。帰宅するとさすがにもう限界、早めに休む。
2月某日

連れがこっちの様子を見て、食中毒かも知れないと言う。そうなると黙っとるのはいかんということで、連れが保健所に電話した。すると係の女性が拙宅まで聞き取り調査に来て、発症前3日分の食事聞かれる。こちらは赤羽のマズい黒豚重が犯人だと決め付けていたのだが、2日前におよばれの際に生牡蠣を食ってたことを報告すると、保健所の女性はそちらの可能性が高い、とのこと。結局どちらにしてもウィルスや細菌の検査をしなければならないということで、検便用具を置いて行った。季節外れの食中毒なのか、生牡蠣に当たったか。
2月某日
11時頃、板橋保健所から電話。検査の結果、食中毒ではないという報告を受ける。ではなぜ!!?!!死相まで出てたってのに。しかし赤羽の蕎麦屋、池袋の鴨鍋屋さんにはいらん疑いを持ってすみませんでした、という気持ちで一杯です。本当です。その上で敢えて言わせていただきますと、赤羽の蕎麦屋さん、やっぱり
「マズいよ」。
でもそうなると何故、激しい下痢と胆汁吐いて死相まで出たのか原因が不明。たかだかビール数本と日本酒3合くらいで死相が出るほどヤワではないはずだ。連れと違うもん食ったというと、コンビニで買ったクリームパン(笑)くらいだし、結局食中毒の菌もウィルスも出なかったわけだし、単なる特急では胆汁は出まいし…謎。ひょっとしたらもっと重篤な病気なのか、俺。
2月某日
ソルトレイクオリンピック。こないだの開会前に見た新聞では、アメリカの何とかいうメディアが日本は金メダル0、と予想していたそう。清水は故障上がりだし、里谷は圧倒的に強い強敵がいるから良くても銅ってとこだろうし、ジャンプ陣は長野の金の後の日本人イジメとしか思えぬ連盟のルール改正で不利だし、スケルトンの越は調子が下り坂。俺も今回は金は良くても1個だろうと思う。
2月某日
昼飯のうどんをすすっていると、新規某クライアントから突然電話。社内で写真集を作ることになり、納期がもうないのですぐに打合せさせて欲しいというので、翌日出かけることに。飯食ってるとよく電話がある。クソしてる時とかも(笑)。「マーフィの法則」か?
さてオリムピック、スノボー男子でのあのジャッジおかしくないすか? あの演技で40点てこたぁないだろ。だいたい今回のジャッジという主観が入る種目では、アメリカの身びいきがひどすぎないか? モーグル女子、上村愛子6位ってこたぁないだろ? スピードスケート男子、堀井学と一緒にスタートした一回目1位のアメリカ選手はなぜフライングではないのか? テロの後の国威発揚という意図は本当にないのか!? ウォザースプーンの転倒はコントではないのか? バイアスロン、見てて本当に面白いのか? 清水がスタートする前にツバを吐いたがうまく吐けずに口にダラリとついたのは汚くないのかぁぁっ!?!?
2月某日
やっぱりスピードスケート男子500、金のフィッツジェラルド(ブッシュ似)と清水のタイム差を見るに、堀井と同走の一回目、フライングちゃんと取ってれば清水が逆転してた可能性大、ですな。それにしても清水の集中力は凄いものがあった。メディアはいつもオリンピックのたびに、日本からスポーツやめたらタダの馬鹿というような連中をレポートに送り込むが、清水はそういう連中が声をかけてもレース前には絶対に応えなかった。イヤな野郎だな、という印象を持たれようが、ヘラヘラ対応して惨敗する方がアスリートとしては情けないと思う。増してディフェンディングチャンピオンだし故障明けだし。銀メダルは素晴らしい。実際試合後はにこやかにインタビューに応じていたもんな。
さてジャッジといやあ、今カナダがカンカンに怒ってるフィギュアのペア、あれ俺リアルタイムで見てたけど、金のロシア組は男の方が一度着地ミスしていた。銀のカナダペアは「ある愛の詩」をBGMに、こちらも感動すら覚える完璧な演技だった。見てて「こりゃカナダが文句なく金だな」と思ったもん。観客の反応もそうだった。なんかおかしい。
それとは関係ないかも知れないけど、シドニーの柔道、篠原のミスジャッジといい、日本人ってホンットに国際的な場での意思表示が下手。というかロビー活動全般が政治も含めて全般的にヘタである。韓国なんかその点ソツがないから、日本発祥の格闘技である柔道連盟の会長が韓国人になるんだよ。ワールドカップ共催だって韓国に完璧にイニシアティブ握られた結果だし、もう本当に「恥ずかしい日本人」。大体外務省なになってんだ。本来各国にいる大使や公使がそういう根回しとかするべきだろうに。いつも居るんだから。官僚が天下って適当につつがなく過ごしゃあ血税からべらぼうな額の退職金払われるから、最初からやる気なし。おまけにあの鼻持ちならぬエリート意識。死ね死ね死んでしまえ全員。ヒゲの野上の退職金が8500万だっけ?殺すぞマジで。プンスカ。(掲示板より)
2月某日
一日中仕事。このところ立て続けに仕事の依頼が来て嬉しい悲鳴なのだが、半分以上がメールでの依頼である。こういう時代になったんすねえ。十年くらい前、ニフティサーヴやってた頃には信じられないような時代だ。それで思い出したが、こないだ取引銀行に出かけた時に、バスを待っている間に入った古本屋で「インターネット印税生活入門」(立石洋一著・メディアファクトリー)という本を300円で(笑)買った。ネットで小説を「販売」する「産直作家」として活躍している氏の、ネット履歴やそのノウハウなどで、なかなか面白くて一気に読んだ。DOSからWINDOWSへ、NIFTYからINTERNETへなんて流れとか、フリーソフトで構築するくだりとか、こちらと似ていて興味深かった。
2月某日
国会中継で証人喚問。田中真紀子前外相は予想通り、応答中にテンションが上がり小泉首相を「抵抗勢力」呼ばわり(笑)。野党の方が応援口調で、与野党が逆転したかのよう。テレビに釘付けになってしまう。続いては今や「時の人」となった感のある北海道選出の衆議院議員・鈴木宗男。この男、中川一郎が謎の自殺(?)を遂げた後に、中川の息子昭一と跡目争いを演じて「骨肉の争い」と言われて当選した頃から、大嫌いだった。中川自体、いわゆる利益誘導型の典型的な自民党体質を体現しているいわば「プチ角栄」であったから、北海道出身の自分ではあるがあまり好きではなかった。まぁというより選挙権を得た時には東京だったし、それに一度も自民党の政治家に投票したことはないが。宗男のその後の国会というか政治の場での言動を見るに、とにかく「ヤジ」が汚く下品で、話の内容もオツムの程度が知れるなぁ、と軽蔑していたのだが、ここに来て出るわ出るわの疑惑博覧会。昭一も若いくせにあの傲慢不遜な態度はブン殴ってやりたいほどだが、宗男を殴った上に上から足で後頭部を地面に叩きつけたいぐらい憎らしかった。なので今回の袋叩きはさもありなんだし、ざまぁミロといったところか。それよりも、ここまでこんな小物をのさばらせた自民党や外務省の体質、ひいてはこいつを当選させ続けてきた地元北海道の有権者の見識を疑う。ホンットに、北海道出身者として恥ずかしいよ俺は。最近は雪印問題もあるしなあ。
結局のところ、宗男の言い分は「俺は地元のために一生懸命やっている。地元に金や利益を持ってくるのは、政治家の努めだ」ということであろう。そして、宗男は宗男なりに本当に一生懸命やってきたんだろう。そこが問題だ、ちゅうの。全国の国民から集めた税金を特定の政治家が自分の選挙区の利益のためだけに使うこと、それが問題だ、ちゅうてるの。挙句、地元業者に公共事業を発注し、そこから献金を受けるという構図は野党議員の指摘通りまさしく「税金の還流」そのものだ。しかしこれは当たり前だが、戦後自民党がやってきた、いわゆる「土建屋政治」であり、いまだに地元に利益誘導してくれる政治家が「おらがムラの頼れるセンセイ」と信じて疑わない阿呆な有権者がそれを支えているのがこのニッポンという国である。俺は北海道出身だが、石原行政改革担当相(宗男に恫喝されて半べそかいてたね)が「人よりも熊の方が通行量の多い高速道路を、国税を使って作るのはいかがなものか」というまっとうな発言、つまり見識を支持するよ。ニッポン中、田舎行くと土建屋政治の大物だった竹下の、例の「ふるさと創生」で作られたワケのわからん建築物が景観を壊してるし、田圃の真ん中に通ってる立派な二車線舗装道路にゃトラクタしか走ってねぇし、不必要な空港はたくさんあるし。田舎は確かに地盤沈下で大変だろうが、地域で何とかして地場産業を育てるとか、魅力ある街づくりをするとか、どうやったら人が戻って来たり会社が来たりして税金が増えるのかとか、そういうことに知恵を絞るのが自治体だろうに。結局土建屋議員にすがるしかないってのが無策。そしてそういう首長を選ぶ有権者の馬鹿さ加減。地方自治では、橋本(弟さんの方)高知県知事みたいないい例があるんだから、もういい加減自民党型政治から脱却して欲しい。
2月某日
高校時代のバンド仲間U(今は地方公務員)が、研修で北海道から単身、千葉ニュータウンに出てきている。年末に連絡があり、3月まで居ると聞いて安心していたらもう2月も末だ。一回会おうよということになり、江東区森下にあるキーボードのY宅に集まることになった。Yが、同じくバンド仲間だったKも今は越ヶ谷に住んでいるということで連絡をしてくれたが、風邪でダウンということ。もう一人呼ぶ予定だったベースのKは出張で来られないという。結局集まったのは3人。それでもアパートで久々に高校時代の音源を肴に盛り上がった。Uはポール・マッカートニー&ウィングスの2枚組CDを持ってきたので、それも聞く。ビートルズは誰でも一度ははまると思うが、俺の場合は全曲集めたし、今でも時折引っ張り出しては聞いている。で、若くなればなるほど恐らくJOHN派が多くなっていくと思うけど、初めて聞いた小学生当時から今まで、俺はPAUL派だ。Uも同じくPAUL派。
天才は早く死ぬか長ぁぁく生きるかのどちらかだと俺は思うのだが、JOHNはやはり撃たれて死んだ、それも「Double Fantasy」という名盤を発表してこれからまた、という直後だったので急激にカリスマ化が進んだと思う。JOHN派の怒りを買うことを承知で言うけど、確かにJohnの詞は好きだし、メッセージ性も認める。だけどPaulの作曲家、ミュージシャンとしての才能は間違いなく20世紀のベスト3に入るだろう。Paulこそもっと評価されていい、本当の天才だと思う。それに、Johnの場合はビートルズ時代のあの皮肉めいた歌詞や、巧みな比喩や暗喩を駆使したメッセージが好きだったのに、解散後は臆面もなく「愛」「平和」をストレートに口にするようになったのが気に入らなかった。あんたは宣教師か、と。小林信彦だっけ、週刊誌で「Imagineの歌詞を読んで気持ちが悪くなった」と書いていた。同感。日本語に訳したやつ、ちゃんと読んでみろと言いたい。歌詞ってことで言うと、Paulの方はほとんど意味なんか無し。メッセージなんか何もない。いろいろ後付けで言ったりしてるけど。そこがいいの(笑)。誰もが知っていることかも知れないけど、Beatlesの中で一番歌が上手かったのはPaulであり、一番ギターが上手かったのもPaulであり、ついでにドラムもRingoより上手だった(笑)。最近「老醜を晒す」みたいな感じに見えてるみたいだけど、やっぱり好きだなあ、Paul。最初のソロ「McCartney」、続く「RAM」も本当にいいアルバムなのに、評論家は酷評した。もっと言えばBeatles自体、デビュー当時は糞味噌に言われた。天才は死後、後世に正当な評価を下されることが多い。その意味ではPaulは本当に天才なのかも知れない、不遇だけど。不遇じゃねえか、印税がっぽりで(笑)。最愛のLindaが死んだと思ったら若いかみさん貰ったし(笑)。
Uは泊まって行くというので、3人は寝られないため俺は終電で帰宅。楽しかった。
2月某日
ジャナ専に頼まれて、取材を受けに学校へ行く。15時に講師室ということだったが早く着いたので事務室に顔を出して戻ると、ちょうと今年卒業する編集科コミックコース最後の生徒たちのうち2名と鉢合わせ。立ち話で、今後の進路のことなどをしばらく話した。そのうち取材の女性が来たので、生徒と別れて、広報のH女史と共に取材を受ける。
取材というのは、アニメイトが別冊として出版する「Find Out」というコミックや編集関係の学校選び、みたいな本に、ジャナ専を紹介してくれるというもの。専任講師でもない俺が何で…と思ったが確かにコミック編集者は俺しかいないのでしょうがないんだなあ、ということか。ところが、コミック科として97年から講師を引き受けてきたが、編集科内コミックコースになり、さらに去年からは編集科として一まとめにされている。俺の受け持ちにはコミック編集志望者が十数名もいるというのに、コミック編集が特化していないわけである。取材に来たライター(編集?)の女性は、コミック編集専門のコースがある稀有な学校…という趣旨だったようなのに、これでいいのだろうかと不安になった。しかしコミック実習誌などを見せて、他のセンセイは知らんが俺はこういう風に生徒たちに接し、教えてます、ということをベラベラと話した。その後実習校舎のDTP教室などを見てもらい、撮影などして、2時間足らずで終了。
最近ジャナ専の卒業生か知らんが、匿名掲示板などで学校に対して悪態をついているのを見た。何の役にも立たない学校だとか、講義も先生もロクなのがいないとか。俺の講義も受けてねぇくせに。絶対そんな事言わせねぇぞ。確かに編集者としてのいわゆるルーティンの「実務」は、編プロや版元で何ヶ月かバイトでもすりゃあ猿でも憶えられるだろう。だが編集という概念、センスやマインドというかソウル、そういうものを俺は伝えたいと思って講師を引き受けた。言っちゃ何だが、超一流の大学を出て、マスコミ志望というだけで新聞社やTV局に落ちこぼれて版元に入り、コミックや編集そのものに愛着を持っているわけでもないサラリーマン編集者には負けない。そういう編集を育てたいと思っている。格好つけて言ってるわけじゃなく、本当に人格改造とまで言えるくらい、徹底的に叩き込んでいるつもりだ。俺とて若い子らに学ぶことは多いし、今ではやりがいのある仕事だと思っているから、もう5年目になるというのに一円も昇給しなくてもやってるわけなのだ。