連れが入院して11日目。ようやく退院のメドがついた様子。ホッとする。膵炎から来た糖尿病のために、今後は毎食前にインシュリン注射をしなければならないというので、一緒に血糖値の測り方や注射の仕方などの講習を受けた。インシュリン注射、と聞くともう人生終わった感が強かったのだけど、何の贅沢もしたわけでなく、病気のせいでまた病気、その結果のインシュリン注射というのはちょっと可哀想だ。昨日から病院の前の桜が咲き始めた。淡いピンク色の桜の中に、二、三個真っ赤な花があるのが不思議。連れは桜が大好きなので、車椅子を押して病院の前の通りまで連れて行き、花を見る。
N先生はビニルの上から臓器を二つに切開した状態に開いて見せてくれ、腫瘍と思しき部分を教えてくれた。白い、一見脂肪の塊のように見える5センチほどの塊が腎臓と共に二つに割られていていて、見た感じでは臓器の外に浸潤する一歩手前というか薄皮一枚という感じである。思わず「この白いのが癌ですか」と聞くとN先生は「十中八九間違いありません」という。それでも「見たところ転移もありませんし、今回は輸血もしないで済みましたよ」と教えてくれたので安心した。「これはこれから組織検査に廻しますから、バラバラに切り刻まれてしまうけれども、ちゃんとデジカメで撮影してありますから」とのこと。昨日連れが先生に「切り取った腎臓の写真を撮っておいてもらえますか」と言っていたので、そのようにしてくれたのだろう。とにかく先生に「ありがとうございました」とお礼を言って頭を下げる。「麻酔を今醒ましてますから、あと15分くらいで出られますからね」と言う。病室で待っていていいのかと聞くと、待合室でというので、一旦病室に戻ってお姉さんに無事終わったことを報告してから待合室に戻った。大家族のおしゃべりはさっきまで不愉快極まりなかったのに、手術が無事終わったと知らされた後は全然気にならなかった。
それから20後、ようやく太った看護婦さんが連れのベッドを押して出てきたので、病室まで手を握って一緒に行く。連れは意識もはっきりしているようで、こちらの手もちゃんと握り返した。小さい体でよく頑張ったな、と思いちょっと目頭が熱くなった。日記のINDEXに戻る |