デジタルG編集長日記
2002−9

警察の取調室は狭かったです。
9月某日
 11時頃連れが「病院行ってくるから」と言うので起こされ、前の晩遅かったためしばらくうとうとしてから12時近くに起きる。電話があり、取ると志村警察署。とうとう来たか、と思った。こないだのS刑事ではなくMという物腰の柔らかい口調の刑事さんで、前に「Sが話しておいた身上書やらを持ってもう一回事情を話しに出頭して欲しい」というが、経緯の説明書が出来ていないしまだ弁護士と相談もしていないと言うとS刑事が代わり、「弁護士がどうこうより、あなたの事情を聞いてから服役中のOのところへ行って来なきゃならない。時間が経てばOがまた怒り出すだろうし、あなたが来ることはあなたの不利益にはならないんだから」と言われたので、明日1時に行くことにした。
9月某日
 12時半すぎにO氏からの手紙を全部コピーしたのと、俺の送ったものの出力、さらにS刑事に言われていた身上書や経緯説明書など一式を大きい手提げ袋に入れて出る。物凄い重さ。O氏の手紙のコピーだけで厚さ20センチを超えている。例によって猛烈に暑い中、タクシーをバス停前で拾って警察署に1時5分前に着く。衛視に「どちらへ御用ですか」といつものように聞かれたので、刑事課と答えてエレベータで直接刑事課へ行く。S刑事の姿がなかったので刑事二人が「どちら様?」と聞くので「白取と申しますが」と言うと、その二人が「ああ、うちうち」と言って立ち上がり、「取調室」に入るように言われる。

 刑事ドラマに出てくるようないわゆる「取調室」なのだが、畳一畳ほどの狭い部屋で、机が一個と椅子が3つ、左側には非常に汚い小さな洗面台がなぜかついていた。部屋の仕切りの真ん中に鏡があり、それは隣の部屋からは素通しで見られるという、いわゆる「面通し」の窓のようだった。こんなところで取り調べを受けることになるとはなあ、と思いながら促されて奥のスチール椅子に座る。Kという角刈り銀縁メガネでがっちりした体格の俺くらいの年齢の刑事と、もう一人は恐らく昨日電話してきたと思われるMという刑事だった。二人とも非常に物腰も柔らかく、フランクに話しをしてくれる。「S刑事には話したと思うけど、もう一回最初から経緯を説明してもらえますか」というので、書き上げた供述書(?)というか事情説明文を渡し、O氏との出会いからの経緯を話す。2時過ぎには一通り終わったので「後はよろしくお願いします」と言って警察を出る。
9月某日
塩を貰い、お返しにまた塩を返す観音様。 午前中連れの携帯にお姉さんから電話がかかり、お母さんが気晴らしに京都旅行に連れてってくれるという話。連れは俺は行かないのでどうしようかなと言っていたが、せっかくだから行ってくれば、という。その後連れが今年のあまりの不幸続きに「佐野厄除け大師かどっかに厄払いに行こうよ」というので、佐野は遠いから西新井にしようということにして、支度して1時頃出かけた。

 赤羽からバスで西新井大師前まで向かう。もう何年も前に二人で来たきりだったが、やはり荒川を越えた足立区のあたりはあまり変わってなく、都内、それも環七沿いとはとても思えない風景だ。参道に着いたのは2時頃だったか、平日で行事もない日なので参道も境内も人もまばら。ゆっくり本堂まで行き、お参りをした後で厄除けの申し込みをする。俺は厄除け、連れは病気平癒、Yちゃんには家内安全、今年末に初出産の予定のMちゃんには安産祈願。それぞれ紙に書き込んで申し込み、お金を払うと「3時15分から護摩があるので、その時にまた来てください」と言われたので、喫茶店でご飯を食べて時間を潰す。

 3時前に本堂に戻り、正座をしている人も数人居たのだが上がってパイプ椅子に座る。間もなくお坊さんたちが入ってきて、お経、護摩炊きと始まり、その間ずっと手を合わせてお祈り。全く本当にここ数年ついてない。自分もトラブルに見舞われるし自分の周囲にも病気だのトラブルだのが絶えない。お坊さんたちの声明はマイクを通してあるので迫力満点だし、太鼓や鈴が入るのでなかなか感動した。最後の方の般若心経は一緒に唱えた。心が洗われるというか、素直にありがたい気持ちになった。
9月某日
 このところ調子が良かった連れだが、腹の痛みがひどいと言って病院へ出かけた。買い物があるので西台で合流するが、連れは夕べ痛みがひどくあまり寝られなかった様子で、ちょっとボーッとしており心配。國分先生は「あんまり甘いもの食べちゃダメですよ」と言われたそうで、昨日は確かにドーナツやらアンパンやら食いすぎたと言っていた。ボーッとしている連れをそこに残して、俺だけ食品などを買い物し、再び合流して帰宅。その後相撲を見ながら俺は台所シンクを洗剤で洗って片付ける。ピカピカになった。その後ご飯を炊いて、ワカメとジャガイモとねぎで味噌汁を作り、買ってきた牛肉を焼き、舞茸をバター炒めして夕飯6時頃。連れはあまり食欲がないようで、8時過ぎには寝てしまった。
9月某日
 志村署のK刑事から携帯に着信があったので電話すると、「いくつかまた聞きたいことがあるので17日に来られないか」という。用件はどうやらO氏が今度は郵便局のネットから発信できる「はいぶりっどメール」を、O氏の名義で俺が私用に使ったのではないかと言いがかりをつけてきたという。もちろん俺はO氏の依頼か、O氏本人宛以外には使ってないし、仮にそういうことをしても当然明細はO氏にいくわけだし郵便局に照合すればすぐバレるわけで、そんなことをするわけがない。そう言うと「そうだよね」とK刑事も笑っていた。で、そういうことなら17日は来てもらうかどうか、電話で済むかも知れないからというので、結局電話待ちになった。全く本当に何でこんなことになっちまったんだろうと思うが、自分が招いたことだからしょうがない。そもそも安易に「人助け」なんて思ってしてしまったことが迂闊だし、相次ぐ依頼の連続に嫌な思いをしていたのにも関わらず、後の「恩返し」に期待してずるずると継続した結果一時的とはいえお金を借りてしまったわけだから、自分のせいなのだ。
9月某日
 夕べは民放でトム・ハンクスの映画「グリーンマイル」を見た。公開当時のCMだけ見て、刑務所内での人種差別問題や人権問題などを織り交ぜた人間ドラマ的な映画かと思って見たら、不思議な癒しの能力を持つ黒人死刑囚が冤罪で処刑されるまでのファンタジックな映画だった。TVなので吹き替えで、放送時間は延長しているもののCMがやたら多いのが難点ではあったが、面白い映画だった。まぁああいう話を嫌う人もいるんだろうが、なかなか良くできていたと思う。

 その後裏で録画しておいたNHKドキュメント、「沈黙の村」を見る。これはナチス占領時のポーランドのある村でユダヤ人が数百名虐殺された事件が、ずっとナチスの行ったことと言われていたのが実はポーランド人の村人たちが行ったことだということが国の調査でわかったというもののドキュメンタリー。重い話だった。

 そんなこんなで寝たのは3時過ぎ。今朝は10時過ぎにガンガンと何かを叩く物凄い騒音で起こされ、また隣の田中か、ブッ殺すと思って外に出たらうちの隣のアパートのババァが裏庭で木製の箪笥か何かを解体していた。力がないのかくぎ抜きのような金属棒でやたらめったらに叩くのだが、騒音が物凄いだけで全然解体速度が遅く、それゆえに騒音が長時間続いているという最悪の光景。怒鳴るわけにもいかず、仕方なくソファに倒れこむ。

 間もなく連れも起きてきて、ババァの地獄のような騒音もひどいし、痛みもさほどではないからどこか行こうということになり、支度して池袋へ出かける。東急ハンズで買い物をし、最上階の猫を見に行く。二人で1000円払って入場すると、アメショーからスフィンクスなど珍しい猫も含めて十数匹がいることはいるが、ほとんどが寝ているか高いところでじっと下を凝視しているかで降りてこない。しょうがなくアメショーをなでたり、上にいる猫を猫じゃらしでパタパタするが目もくれない。何だかみんな元気がなく、だんだんむなしくなってきた。ホンの15分ほどで出てきた。
9月某日
 エアロスミスやREOスピードワゴン、ジョン・ロード、コージー・パウエル、ボストンなどなどお気に入りの曲をCDアルバムからmp3にどんどん落とす。最後に前に撮っておいたScorpionsのWAVEファイルもmp3に変換し、全部をCD−Rに焼く。70曲以上入ってもたった300メガちょい。それをTVに接続してあるDVDプレーヤーでかけてみると、ちゃんとフォルダや曲目が出て、TVでも聴けた。
9月某日
 志村警察署から連絡があり、結局O氏は告訴を頑として取り下げず、警察としては俺を取り調べた結果を送検することになったという。ガックリ。気晴らしに買い物に出かけて、帰って小泉首相訪朝関連のニュースを見ると、何と北朝鮮側は日本人拉致問題を全面的に認め、金正日が謝罪したという。また不審船問題でも、今後こうしたことがないようにするなど、日本側がこれなくしては国交正常化問題の話はできないという懸案を全て日本側の望み通りに回答したことになる。連れと二人で「よほど水面下で何かがあったのだろう」と話し合う。これまでは頑として拉致問題など存在しないというのが北側の言い分だったし、そんなもの認めたら日本側に植民地支配時の補償を持ち出しにくくなるわけだから、これは一体どういう変化なのだろうか、と驚いた。メディアでも今回の訪朝で北側は一切譲歩しないだろうし、小泉は何のみやげもなく愚弄されて帰ってくるだろう、などともっともらしいことが書かれてあったが、この結果は確かに意外。

 予想されるのは、北側の頼みの中国からはすでに援助を受けているわけで、特別なことが無い限り今後大幅に増額されるようなことはない。もう一つの頼りであるロシアは自国の経済がズタボロでとても援助どころではない。となるともう日本しかないということだろうか。そのためには日本側が言う「拉致問題」「不審船問題」をまず認めて謝罪しないことにはどうしようもないわけだから。それにしても、今後は逆に「こちらは謝った、次はそっちの番だ」と来るのではないか。つまり日本の植民地支配に関する謝罪と補償の要求だ。どちらにしてもまぁ日本近辺での「脅威」が減ることはいいことではある。また援助といっても、金だけではない。日本がこれまでやってきた方法、つまりダムだ発電所だ道路だ橋だと言って援助の美名の下に、結局日本の土建屋どもに仕事をやらせるという方法。これなら建設業界は潤い、結果的に景気が底上げされるということも考えられる。日本国内では長野県田中康夫ちゃんの「脱ダム宣言」を引き合いに出すまでもなく、ああいう公共事業の名を借りたずぶずぶの「土建屋政治」は通用しなくなりつつある。まだやってるけど。ではODA関連で途上国でそれをやろうとしても、国家財政は借金で疲弊しており、ムネオ問題などもあってなかなかできなくなって来ている。北朝鮮ならまだまだ未開発だし何せ近いし、近隣の国情の安定という美名があるから、そういう方向になるのかも知らん。
9月某日
 志村警察から事情聴取の電話。
9月某日
 この日も警察から電話が入る。これだけでも物凄いストレスだ。結局、送検されるわけで供述書など書類を整えるから、後日署まで来てもらうことになるから、ということ。
9月某日
 知り合いの紹介で板橋区議会の議員さんと飲む。
9月某日
 MLB、プレーオフ進出をかけてジャイアンツと激しいワイルドカード争いをしているドジャースはパドレスと対戦。野茂が先発で3点を早々に失うがその後は立ち直り、8回までキッチリ抑える。9回表に代打を出されたが、見方が2点取ってくれ、その裏は抑えのエース・ガニエが抑えて50セーブ目、野茂はキャリアハイのタイとなる16勝目をあげた。
9月某日
 昼前に起きて、バスで学校へ。3限は2年の担任クラス、特集タイトル決めが結局決まらず。4限、今度は1年の担任クラスでは初の編集会議で、編集長に渡部君、副編集長に男女それぞれ1名づつを選出させる。まだまだこのクラスは「お子ちゃま」が多い。これからたたき上げて行かねば。4限終了後に2年生のSさん、Nさんの二人が講師室に来て、Nさんは漫画のネームの最終確認、Sさんは上がったインタビュー原稿のチェック依頼。それぞれ対応すると30分くらい経過。まっすぐ帰宅。
9月某日
 某出版社の編集さんと坂上の喫茶店で打ち合わせ。珈琲館に入ると、カウンタに何と清竜丸のマスターがいて、「これから打ち合わせ」と言うと、マスターは「じゃあそれまで」とこっちのテーブルに移って、3人でバカ話。約束の2時を10分過ぎても編集さんが現れないので、カウンタに座ってバクバクとハニートースト食ってるババァを見て「実はあの人だったりして」と笑ったり、入り口付近のつるっパゲのジジィを見て「あの人かも」「だって待ち合わせてるの女の人だよ」「性同一障害かも知れないじゃん」とか言って笑ったり。その後20分ほどして地下鉄の事故だったとかで、ようやく編集さんが到着、マスターはそこで「じゃあ俺はこれで」と帰り、編集さんと打ち合わせ。
9月某日
 4時からベルリンマラソンだったので中継を見るが、高橋尚子が事前のコンディション不良という報道にも関わらず、最後は独走で2年連続優勝。マラソン自体も6連勝。ベルリンの観衆も去年その時の世界最高で優勝した高橋のことはよく覚えており、声援の多さと日の丸の小旗の多さにもびっくり。タイムは2時間21分台という高橋にしては満足いくものではないのだが、大したものだ。それにしても日本側中継司会の小倉「プチ巨泉」智明の方が不愉快。あいつはマラソンでも、サッカーでも野球でも、ムエタイでさえも、なぜ専門家面するんだろう。もう傲慢、不遜、知ったかぶり、自分への批判は全て逆ギレ、「ハワイの俺の店では」発言、ヅラ(笑)、全てが気に食わない。
9月某日
 ビデオで「シックスセンス」のハーレイ・J・オズメントが出ている「ペイ・フォワード」を見る。やっぱり最後は不幸になるんだな、この子。映画自体はよく出来ていたが、途中ボン・ジョビがチョイ役で出ていて笑う。
9月某日
 連れが春に入院以来、俺が10kgも痩せたのでさすがに連れが心配し、病院へ検査に行くことになる。気になっていた右手の指の黒斑を皮膚科で診てもらうと心配ないということでまず安心。次に勝呂先生が血液や尿検査をしてきてというので、検査に行く。結果が出たので階段のところで連れと二人でじっくり見るが、ほとんど平常値以内。ただ白血球が少ないのと、血小板が少ないのだけ。内科の受付に検査結果と皮膚科のカルテを出すとちょっとしてすぐ呼ばれ、勝呂先生がやはり白血球と血小板が少ないことが気になるのと、血圧が低いこと、あとコレステロール値が平常値以内ながら非常に少ないと言われる。要するに栄養がむしろ足りないような状況なので、何でも好きなものをどんどん食べてくださいと言われた。俺の年代なら普通はコレステロール値が高いことを気にするものだし、俺はそういう食べ物…イカタコエビ、レバー、卵などが好物で結構食べているのにおかしいなあ、と思う。ちゃんと食ってるのに入ってってないということは逆に異常なんじゃないかと思うが、勝呂先生の所見では全く異常はないということだし、肝臓も膵臓も全く正常と言われてともかく安心。連れと丁重に御礼を言って辞す。

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