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<!--S P E C I A L C O N T E N T S-->
◆超意識的漫画家・古屋兎丸INTERVIEW◆ |
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Usamaru Furuya Interview(2000/1/26 REC.)for PULP magazine(viz communications Inc.) #3 CROSSTALK 「日本経済はオタクが支えている− 児童ポルノ規制法案が日本を失速させる」2/2P <UPDATE 2000/5/30> |
Shiratori(以下S) あとね、僕の教え子の19-20歳くらいの女の子が好きな漫画に「やおい」ってあるでしょ、男の子同志のホモ漫画。
Furuya(以下F) ああ、ありますよね。
S あれって何で女の子が美少年同志のホモ漫画、それもけっこうハードな行為描写があるものを見て喜ぶのか聞いてみたら、はっきり「あれは女の子が読むポルノだと思ってますから」って言いきってたもんね。だから男のオタクだけじゃなくて、女の子のオタクだっていーーっぱいいるんですよ。さっきのファイナルファンタジーにしても、男の子は登場人物の美少女キャラを犯すわけでしょ、女の子は美少年同志でホモやらせてる(笑)。
F ああ、そうですよね。
S 女の子だってちゃんと性欲があるし、それを漫画の世界に求める子だってたくさんいる、だけどいくらなんでもレディスコミック(女性向けのポルノ漫画)はキツいけど、美少年ホモだったら綺麗だし、本物のセックスの前段階として雰囲気も楽しめるんだと割り切ってますね。だってアダルトビデオなんかは全部男の視点でしか撮られてないでしょ。レイプされて喜んでたりとか、女の子には到底理解できないわけで。だから漫画の方へ行くしかない。
F 例えば実際被害者が出るようなね、実際に無理やり強姦するようなものを売るのはいかんとは思うんだけど。
S そういう線引きは、さっきの規制とは別に必要だとは思いますよね。そりゃあ。ただ何歳以下はいかん、という線引きはねえ(笑)。こないだ何かで見たんだけど、規制法案に抗議して、子供の裸のイラストを描いてね、それに矢印して「幼く見えますが、この子は20歳です。」って描いてあんの(笑)。どうみても小学生にしか見えないのに。他の絵にも全部、矢印して「20歳」「この子を子供だというのは逆に差別です」とか描いてある。いや、痛快ですよねそういうのって(笑)。
F なるほど(笑)。僕ね、こないだ「Erotics」って雑誌に描いたのは、13歳の女の子が性に目覚めるという話なんですが、困った挙句に冒頭に「ゆめ 10013歳」「かな 10013歳」「これは架空の国の架空の話なの」って前置きしてから始めたんですね(笑)。まぁ10000取って読んでくれ、って感じなんですけどね(笑)。
S いいなあ(笑)。デーモン小暮みたい(笑)。規制する側の一方通行に比べて、規制される側の柔軟で、工夫を凝らした抵抗って面白いですよね。だって一時の「有害コミック(ポルノコミックのこと)」規制問題のときも、結局本に「成年コミック」ってマークつければ良し、って決着したでしょ。そしたらもう免罪符貰ったわけで成年コミックは、やり放題。逆にこれまで商業誌に比べて過激だったはずの同人誌の方が規制が厳しくなったり、ヘンな逆転現象が起きてしまった。同様に通常の青年誌は大変ですよね。特に今回の規制では。
F エロで育って商業誌に行った人だっていっぱいいますからね。山本直樹さんなんかその最たるものだし。
S うたたねひろゆきさんとか唯登志樹さんとかね。昔のエロ劇画からだって能条純一さんはじめたくさんいますしね。
F そういうの読んでないんですよ、年寄りの政治家たちは。
S 今の漫画大国ニッポンで、漫画を普通に読まない人って、相当ヘンな人じゃないですか、それこそ年寄りくらいで。普通の人が当たり前に漫画を読んでるのに、そういう普通のことが解らない、「ヘンな人」たちが政治やってんだから。
F 何が「市民感覚」だって思いますよね、漫画も読まずに。でもまぁ…うちの母親とか父親なんか読んでないですねえ。喜国さんが言ってたんですけど、うちの人が無理に話合わせてくれようと思って「いやぁ『のらくろ』は面白かったねえ」とか言ってくれるんだって、でもそれが迷惑なんだと(笑)。ましてや政治家ですからねえ。
S 死に絶えるのを待つしかないんですかねえ。
F その前に失速しますよ日本経済は。今以上に。それに、漫画表現そのものが今どんどん力を失ってると思うんですよ。衝撃度とか。今小学生も漫画読まなくなりつつあるらしいですよね。さっき某誌の人と会ってたんですけど、岡崎京子の再録を載せたところ、今の読者には今ひとつだったらしいですよ。今の子らは岡崎京子(Kyoko Okazaki)を普通の漫画として読んで、普通の絵の下手な漫画としか評価してないんですよ。
S ああ、最近流行りのアニメ絵とかオタク絵はアニメとかゲームで見慣れてるから。そういう絵柄以外のものは受け付けなくなってきてるのかな。
F だから漫画の売上が落ちてるってことは、漫画の衝撃度も落ちていってるということですよね。
S 絵柄もどんどん平均化してったりして…。でもちょっと前までって、一番力のある表現って漫画だったですよね、音楽は外国の真似ばっかりで世界じゃ通用しないし、日本映画がダメになって…それが手塚漫画の黒人差別問題とか、有害コミック規制とか今回の児童ポルノ規制とかで、どんどん狭められてるからかも知れないですねえ。
F 法規制を一番もろにくらうのが漫画ですよね。
S でも岡崎さんが絵柄だけで評価されるってのも…何ですよねえ。新しい表現とかを切り開いてきた人っているじゃないですか、そしていつでもその後をもっとうまく加工して、ホイホイッと要領よく後ついてって、いつの間にかその開拓者を踏みつけて第一人者ヅラしてる奴もいる。岡崎さんはちゃんと評価され続けないといかんと思いますけどね。…「Palepoli」は、漫画に漫画以外の文脈をいろいろな意味で持ち込んだという意味において、僕は古屋さんも開拓者だと思うんですよ。「あ、こういうのもアリか、こういうのもOKなんだ」ってたくさんの人が気付いたと思う。
F 嬉しかったのはね、同業者の人に「悔しかった」って言われるんですよ。「やられた」とか。僕もいい映画見た時とか、いい作品見た時にそう思うんですね、「何で俺が先にやらなかったんだろう」って。そういう風に言われるとすごく嬉しくて。
S 「これは間違いなく自分が最初に表現したぞ」と。
F そういう自負はありますね。あと、いつまでたっても古くならないようにというのは気をつけてますね。パロディに選ぶ作品も、もう普遍的になってる、国民的な作品だとか。
S あと十年経っても「ドラえもん」は見られてるだろう、と。
F そうですね。だからあの時期どうしても描きたかったのに描かなかったのはオウム(真理教)ネタなんですよ。あんなに楽しいネタがいっぱいあったのに(笑)。描きたくてしょうがなくって、でも描いちゃ駄目だと思って、10個くらいあったオウムネタを全部ボツにしたんですよ。
S 星新一(Shin-ichi Hoshi)も生前同じこと言ってましたね、時事ネタは書かない、と。実際登場人物の固有名詞さえNとかFとか抽象的なものにしてるし。
F 今「仲村トオル」とか使ってる昔の漫画見たら恥ずかしいですよねえ(笑)。
S そんなわけで、最後にアメリカの読者に言うことはやはり日本に圧力をかけるんだったら、規制撤廃の圧力をかけろと。
F うん、そうすれば結果的に日本の人は頑張って、みんなでいいものを作って、もっともっとアメリカの人たちを驚かすことができるんで。結果的にそれはアメリカの人が喜ぶものが見られるわけですからね。こんなもんじゃないから。何とかしてくれ、みんな悲鳴上げてるよ、と。
S 強く言いたい、と。…今日は忙しいところ、本当にどうもありがとうございました。
◆東京・南阿佐ヶ谷にて
収録2000年1月26日
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◆古屋兎丸(Furuya Usamaru)1994年青林堂「月刊ガロ」9月号入選作「Palepoli」でデビュー。
連載中より小学館「ヤングサンデー」で「ショートカッツ」連載。
現在は「コミックバーズ」他幅広い媒体で活躍中。
著作・「Palepoli」(青林堂)「ショートカッツ」(小学館)「Garden」(イーストプレス) ◆聞き手:白取チカオ(Chikao Shiratori)当webzineデジタルG編集長。1984年よりガロ編集部勤務。副編集長として97年まで雑誌・書籍の編集。1997年フリー、デジパッド取締役。編集者・ライターなどの他、WEBデザイン・構築など。
現在は米国VIZ Communications Inc.日本編集エージェント、日本ジャーナリスト専門学校コミック編集コース講師。
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