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◆"確固たる「ワールド」"・辛酸なめ子INTERVIEW◆
Shinsan Nameko Interview(2001/1/22 REC.)for J.J.C.

#2 広がる「辛酸ワールド」<UPDATE 2001/2/15>



#2 広がる「辛酸ワールド」

「GOMES」1994年2月号(PARCO)  そして1994年にゴメスマンガグランプリで「GOMES賞」を受賞されたのが有名なこの「That's先見ゼミ」ですね。

 これは審査員を吉本ばななさんがやられていて、後で出てくると思いますが初の単行本『ニガヨモギ』の帯まで書いてくれることになる伏線になるというか、とにかく池松ワールドのスタートになりましたね。

 そうですね、審査員の評を吉本ばななさんに書いていただいたおかげで、ばななファンの母も喜んでいました。でも、家族に見せることができた漫画はこの受賞作だけです。それ以降の作品は、全く見せていません。家が厳しかったので、性的な表現の少しでもある漫画は絶対見せられませんね。

 それはもったいない。池松ワールドというとやっぱりその独自の視点、目の付け所だと思うんですが、よく雑誌の通販広告にチョコッとある漫画とか、まぁ代表的なのは少女漫画の表4によくあった「日ペンの美子ちゃん」的な、ああいうものって面白いですよねえ。
「That's先見ゼミ」審査員は吉本ばなな氏
 「日ペンの美子ちゃん」結構好きでした。「ニガヨモギ」に収録された、かつて「サルでもわかるパソコン入門」に連載していた「電脳美子ちゃん」も、そのオマージュというか…。

 ねえ。普通一般でいう「面白い」って感覚だと「?」ってなる人も多いと思うんだけど。

 広告漫画とか、チラシの漫画は素人っぽい人が描いているならではの面白さがあると思うのですが、それをわざわざ熱心に読む人は少ないでしょうね。

 そういう部分に面白みを感じるというか、人とちょっと違ってるという自覚はありますか?

 人と違うかと言われれば、世界の人全員違うと思うのですが、私の場合、皆が面白がって笑っている場面でも、「笑い」が全然湧いてこないということはありますね。人様の作品を目の前で読まなければならない時とかも、心の中で(面白いな)と思っても、それが全く顔の筋肉を動かさないので、無理にでも笑おうとするとますます固まってしまうのです。これは人格障害の一種なのではないかと、不安になっています。白取さんも、職業上、作品を描いた本人の前で漫画を読まなければならない場面が多いと思うのですが、そんなときプレッシャーとか感じませんか?

 感じますよねー、ひしひしと。特に自信満々で持ち込まれた作品が全く全然クソも面白くなくて、その上ヘタだったりすると…(笑)。んで顔を上げたら「どうだい?」なんて笑みを浮かべた目と目が合ったりした日には…。努めて平静を装うようにはしてますけどね。

 自分の感情があまりにも乏しいので、英会話教室に一年通ってアメリカの社交術を身に付けようとしたのですが、自己啓発セミナーのような授業で辛いだけでした。声が小さいとか言われて、「I am the greatest!!」と教科書に書いてある恥かしいセリフを何度も叫ぶまで言わされたり、目を見て話せるまで許してもらえなかったりしました。

 それって「バカになれ」ってことと同じじゃないすか。

 結局これで性格が明るくなるということはなかったです。さらにひきこもりがちになりました。

 そういえば前に池松さんにすっげぇ面白い漫画もらったんですよね、池松さんが描いたやつじゃないんだけど…道で拾ったという。

 あ、これのことですか。(道に落ちていたという漫画ビラ)

 そうそう、これこれ! これちょっと危ないんで掲載はできないと思いますが…。

 あ、危ないんですかね。

 これね、恐らく統●教会の宣伝漫画ビラですよ。ええと…ほら、ここ(お金の袋)に¥じゃなくてWって描いてあるでしょ。これが(笑)。

 あっ! 本当ですね。これは気が付かなかったです! ふつうお金のマークといったら$か¥ですよね。

 掲載できないのでアレですが、これは「脳癌」(笑)というワケのわからない病気にかかった少女が信心によって救われ、宗教への帰依の大事さを訴えるという内容なんすけど、まぁ絵もヘタウマ少女漫画だしセリフも●国語直訳ぽいし、とにかく凄いんすよ皆さん。

辛酸なめ子  突然写真が入っているのも素敵ですよね。「666刻印をひたいに押されるとお金が必要でないと宣伝しているサンフランシスコのある整備工場」の看板の写真とか…。意味が分からないけどインパクトがあります。しかも漫画の最後が「じゃ、みなさん長いお話をお聞きになってありがとうございます。では、さようなら。 今すぐ近くの教会に行きなさい。主はあなたを待っています」という礼儀正しいのか、命令なのか、巧妙なSMプレイのような口調で締められていて、心理コントロールされそうです。宗教の力ってすごいですね。

 こういうのでハマっちゃう人もいる…んでしょうか?(笑)…僕がガロにいた時代の新人漫画家さんで、まだ大事件起こす前のオ●ム真理教に入っちゃった人がいたんですよ。ある日秋葉原の路上で何の気なしにもらったパソコン関係の新聞を喫茶店で読んでたらその人の漫画が載ってて。『DOS/V仮面』っていう(笑)。

 私が古本屋で買ったオ●ム漫画の中では、「滅亡の日」は普通に絵が上手かったのですが、「マハーヤーナー」という機関誌に載っていた、教祖が瞑想によってアストラルトリップと地獄を体験する漫画がすごかったです。太い油性マジックで描いたような荒々しいタッチでした。描いた人は解脱してなさそうです。他にもオ●ムについては個人的にいろいろと言いたいことが胸に積もっているのですが、あまり言うと後ろに気を付けて歩かなくてはならなくなってしまうので、ここではやめておきます。

 そうですね(笑)。お互い気をつけましょう。僕も当時のオ●ム関係のビデオはニュースから何から120分の3倍録画のテープで5,6本あることだし…さて、「GOMES」以降初の単行本『ニガヨモギ』までの間はかなり長かったんですけど、その間は主にどういう活動をされてました?

 そうですね…辛酸なめ子としては『ねぎ』で描かせていただいたり、同人誌を作ったり、最近ではスペースシャワーの『ダダダー!』とかいろいろやってました。

 今も続いてる『少年タケシ』(フジテレビ・HERE)も『ねぎ』の小出さんとですよね。

 ええ、そうです。
<以下次回>(次回更新は2/20予定)

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