S 池松さんというとやっぱり同人誌が物凄く面白いんですよねー。今日もいくつか持ってきていただいたんですが…
S あ、これこれ。あの「サーヤ本」ですよね。
I はい、そうです。
S なぜサーヤを…? ちょっと似てるからとか(笑)、違うか。
I あ、似てると言われるのは嬉しいです。光栄です。
S サーヤネタなんて同人誌じゃないと…いや同人誌でもそうそうできるもんじゃないと思ったんですが、何かリアクションはありましたか、アッチ方面から(笑)。
I いえ、全然ないですよ。
S そりゃそうだ。
I サーヤはいずれ民間の方になるので、わりとノーマークみたいです。
S そういうことなのかなあ? …で、サーヤにはいつ頃から興味を持ったんですか?
I 子供時代のメガネ姿も可愛かったのですが、メガネをお外しになられて女らしくなった頃からどんどん魅力を感じてきました。実際、お正月の一般参賀も何度も言っているのですが、肉眼で見ると本当に高貴なオーラを放っていて綺麗な人なんです。まるで天女のようです。
S それとやっぱり皇室そのものに興味があるというか。
I 皇室にお生まれになること自体前世で徳を積んだ成果だと思うので、雲の上の人だと思っています。でも、つい一般参賀ではサーヤに感情移入してしまい、「人民が私に旗を振ってくれている…」という錯覚にとらわれて感動しています。「王子と乞食」という物語がありましたが、わたしもいつかサーヤと入れ替わりたいくらいです。
S なるほど…。本気、ですね。本気といえば、この本も凄いっすよね。ここまでやるか、という。
I これは少年誌によくあるアイドルの水着グラビアとか、ああいうものをコンセプトに自分で撮りたかったんです。それで友人と実際にバリ島まで行って撮影もして。
S これ本当にバリ島ロケなんですよねー。
I はい、ただ行ったら雨季で天気が悪く、本当にバリ?茨城じゃないの? という仕上がりになってしまいました。周りの人もなかなかバリと信じてくれないのです。それと、レフ板を持ってくれる人がいなかったので、顔が影になってしまったりしています。とにかくこの本にはお金がかかりました。印刷代で15万、それに旅費ですから…。
S くわー。あとこれにも怪しげな(笑)通販コーナーもありますね。
I 今日もいくつか持ってきたんですけど…
S おお、「印象派メガネ」。去年タコシェでやった「物産展」でも売ったんでしょ。
I ええ、あとこういうのも…
S これは?
I 「666刻印」です。
S "The number of the beast"ですね(笑)。こんなの額に押されたらたまらん。こういうグッズを作るのは「メディア・アクティビスト」としての池松江美の方ですか。
I はい、なんとなく名前を使い分けていますね。グッズの方は今は「カエルブンゲイ」というフリーペーパー上で新作を掲載してもらっています。
S 池松さんというと漫画家・辛酸なめ子も含めて、見事な「ワールド」がありますよね。やっぱり漫画に限らず面白いことは何でも自分でやってしまう、モノも自分で作ってしまうというところが凄いと思いますよ。
I 漫画でできることと、物体の作品で表現できることは違うので、それぞれ何を表現したいかで使い分けている感じです。
S これも手作りなんでしょ。
I 「ヘタ帽」は昔『STUDIO VOICE』に連載していた「秘法手帖」というコーナーで作ったのが最初です。その時、結構作るのが簡単なことが分かったので大量生産できると思い、商品化した次第です。99年の12月でタコシェで開催した「池松江美物産展」で実演販売もしました。そのあと京都の「ヴォイスギャラリー」の一角でも実演販売しました。タタミと屏風を買ったので、頼まれればまたいつでもどこでも実演販売に行きますよ。
S グッズでも漫画でも、普通は「こういうのがウケるんじゃないか」とか、考えるじゃないですか。でも池松さんていつもマジでしょ。真剣に「頭の良くなる漫画を描こう」とか「これ(印象派メガネ)でゲロの処理もバッチリ」とか(笑)。
I これが必要だ! という心の中の叫びに忠実に従って作っています。印象派メガネは、虫の死体を片づけるのに重宝しますよ。
S さっきの「サーヤ本」も、サーヤへのメッセージのつもりで描いてる、と前に言ったじゃないですか。
I そうですね。身分があまりにも違いすぎるので、なかなか届かないとは思いますが。
S そういうとこが凄いんだよなあ…。で、処女作品集『ニガヨモギ』の話へ。そもそも何で三才ブックスさんからなんでしょうか。
I あ、実はこういう同人誌も出しまして…ピョコタンさんという友達の漫画家が編集長なんです。
S 「少年ウンコ」(笑)。
I ええ、これを三才ブックスさんの編集の方がご覧になって、中にメールアドレスが書いてあるんですが、なぜか私にメールがあったんです。本出しませんか、という。三才コミックスという新しい漫画部門が始まるとのことで、ピョコタンさんはまず出すことが決まっていたみたいなのですが。
S へええ! 見る目あるなあ。で、それが決まって、まだ原稿足りなかったんですよね。それで僕に連絡いただいて、一緒にガロに行って。
I はい。その節はお世話になりました。単行本のために、どこにも未発表の漫画を55ページくらい書き下ろしたので、もし持ち込んでその中の一遍でも雑誌に載せてもらえれば… と思いました。本の宣伝にもなるかも、という目論見もあったのですが。
S その時の作品が『偉大なるドイツの母』ですね。もう僕なんか見て一発で面白くて。
I あ、ありがとうございます。
S 今はガロにも連載してますよね。
I おかげさまで、懐の広い雑誌に載せていただけて良かったです。ペースがつかめてきたらもっとたくさん漫画を描いていきたいです。
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『ニガヨモギ』三才ブックスから絶賛発売中!
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辛酸なめ子初の単行本、『ニガヨモギ』。装幀はサルブルネイ・宮村泰朗、帯文は吉本ばなな。
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こちらは当初の表紙「イメージ」。もちろん、画像は某有名少女画家のもの(笑)。
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S とにかく『ニガヨモギ』というか、池松さんの本は出るまで時間かかったなあ、という印象がありますよね。随分前から僕の周囲では池松さんは面白い、という話をしょっちゅうしてたんですが。
I それは恐縮です。わたしも白取さんの話はよく古山(啓一郎)氏から聞いておりました。
S ええー? 「白取さんはホモなんだよ」とかワケの解らんこと言ってませんでした? …でもそういう「池松ワールド」が集大成としてやっと一冊にまとまったことが、以前からの皆の評価は間違ってなかったな、と改めて思いましたよ。帯は吉本ばななさんだし、装幀はサルブルネイで。松本弦人さんもけっこう前からのお付き合いですか。
I はい、最初にお会いしたのは8年くらい前ですね…。その後「pop up computer」という94年にアスク講談社から出た、飛び出る絵本にいろいろなしかけがあるCD-ROMの仕事を依頼していただいたりしました。でも昔の作品は恥かしくて、今は正視できないです。
S さて、最近だとテレビ埼玉のお仕事とか先のスペースシャワー、あるいは「ウンジャマラミー」の攻略本というのもありましたし、本当に忙しそうに見えるんですが…
I いや、白取さんの方が100倍忙しそうですよ。私は毎日必ず睡眠8時間です。しめきりが重なっていない時はわりとゆったり時を過ごしています。
S そうかなあ。僕も少なくともビールはほぼ毎日飲んでますけど(笑)。…今後はどういう創作をしていきたいと思いますか。
I 基本的にしめきりがないとなかなか自発的に作ろうという気が起きないので、来た仕事をこなしつつ、余裕があったらまたミニコミなどを作っていきたいです。
S なるほど、ますます期待しております。今日はどうもありがとうございました。